「ジョブ・クラフティング」の意味とは?取り組むメリットや注意点を解説
こんにちは。スキイキ広報担当です。
5月も後半戦になり、気温が上がってきていますね。急に暑くなってくると、業務に集中しにくくなることもあるかと思います。
そこで、今回は「モチベーション」に関連するテーマを取り上げます。
企業においては、それぞれのメンバーが主体的に動くことで業務が回りやすくなったり、変化に対応しやすくなったり、新たなアイデアが出てきたりと良い側面があります。
ですが、実際「メンバーの主体性を高めるには?」「モチベーションを上げるには?」と多くのリーダーが考えてきたことだと思います。
その解決策として、仕事への向き合い方を主体的にしていく「ジョブ・クラフティング」という考え方があることをご存じでしょうか。
本記事では、プロジェクトマネージャーやチームリーダーなど人材育成・活用に関わる方へ向けて、「ジョブ・クラフティング」の考え方の概要や、実際の職場に導入していくメリットを解説します。
モチベーションアップに繋がる「ジョブ・クラフティング」とは?
ジョブ・クラフティング(Job crafting)とは、働く一人ひとりが仕事を主体的に捉え、やりがいを持てるようにするための方法を指します。
与えられた仕事を機械的にこなしていくような受け身の状況では、仕事のモチベーションは上がらず、成果にも繋がりにくいと考えられます。
「やらされている」という意識ではなく、自ら仕事に意味を見出したり、仕事内容の範囲を変えていくことで、モチベーションアップに繋げ、働きがいを感じるようにするのが、ジョブ・クラフティングの考え方です。
もともと「ジョブ・クラフティング」は、米国イエール大学ビジネススクール教授のエイミー・レズネスキーとミシガン大学名誉教授のジェーン・E・ダットンが、2001年に提唱し、日本では2016年頃から注目されるようになりました。
では、なぜ「ジョブ・クラフティング」が注目されているのでしょうか?
働き方の多様化やユーザーの求める価値の変化などによって、単純に作業をこなせばよいという時代から変化したことが背景にあります。
従来の日本企業はトップダウン方式で組織作りが行われていたのが一般的。しかし、単純な利益追求や作業効率向上に疑問を感じる人が増え、仕事において「やりがい」を求める人が増えてきています。そのため、今まで通りの組織作りでは、一人ひとりのモチベーションが上がらず、生産性の向上や成果にも繋がらなくなってきているのです。
余談になりますが、「ジョブ・クラフティング」と似た言葉で、「ジョブ・デザイン」という言葉もあります。「ジョブ・クラフティング」は一人ひとりが主体的な行動や創意工夫を促す考え方なのに対し、「ジョブ・デザイン」はあくまでも経営者が働きがいのある仕事を割り振るという考え方。
同じモチベーションに関する理論ですが、考え方が大きく異なるので、押さえておくと参考になるでしょう。
なぜ「ジョブクラフティング」に取り組むのか、3つの目的とメリットとは?
ここからは、「ジョブ・クラフティング」の目的とその効果について整理していきます。
そもそも「ジョブ・クラフティング」ってなぜ導入するの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、その目的としては大きく3つ挙げられます。
1つめは、「業務の捉え方を変えること」
仕事を単に作業として捉えてしまうと、そこから工夫や成長は生まれません。「この方がスムーズに進むのでは?」「この方がコストを抑えられるのでは?」と考えていくことで、結果に繋がりやすくなるでしょう。
2つめは、「仕事の意義を再定義すること」
毎日同じ仕事をしていると、目の前にあることをこなすだけになりやすいでしょう。そこで、「この仕事は何のためにやっているのか」「どのように役立っているのか」などを考えることで、仕事のやりがいを見つけやすくなってくると考えられます。
3つめは、「人間関係への意識とアプローチを変えること」
仕事は様々な人と連携しながら行うため、人間関係の捉え方で、仕事のやりがいも大きく変わってきます。ジョブ・クラフティングにより、チームメンバーのためにもモチベーションを保てるようになると、チームメンバーやクライアント、お客様などとのコミュニケーションが円滑になり、より仕事のパフォーマンスの最大化に繋がりやすくなると言えます。
このような3つの目的に添って「ジョブ・クラフティング」を導入した結果が気になる方も多いと思います。効果としては、以下の4つが代表的なものとして挙げられます。
「ジョブ・クラフティング」は、仕事に対する一人ひとりの姿勢を大きく変えてくれるものです。従来、受け身だった人でも、主体的に業務に取り組めるようになるので、プロ意識を身に着けるために有効です。
主体性が生まれると、自分が果たすべき役割の理解・遂行も自ずとできるようになるため、自身の強みを活かして業務に取り組むことができ、その結果として適材適所に人材を置くことが可能になるでしょう。また人によってはリーダーシップを発揮するケースも考えられ、リーダー育成もしやすくなります。
そのほかにもメンバーそれぞれで創意工夫をする状態を作ることができるので、新しいアイデアも生まれる可能性があります。そのような発想をどのように活かすかが、チームや企業としての成果に関わってくるでしょう。
そして、このように日々自分の役割に沿って創意工夫を行っていくことにより、仕事にやりがいを感じ、企業へのエンゲージメントも高まると考えられます。チーム作りをする上で、エンゲージメントの向上は欠かせません。そういった部分でも「ジョブ・クラフティング」が役立つのです。
ジョブ・クラフティングの4つのステップとリーダーが知っておきたい注意点とは?
ここからは、「ジョブ・クラフティング」に取り組むステップと、マネージャーやリーダーが押さえておくべき注意点をご紹介します。
まずは、一人ひとりが取り組むステップを整理します。
この4ステップをメンバー自身が行える環境を整えることが、マネージャーやリーダーの役割といえます。
ジョブ・クラフティングに取り組んだとしても、メンバーの提案が聞き入れられなければ、ステップがなかなか進みません。そのため、チームメンバーと定期的にコミュニケーションを取る機会を作ったり、提案をしやすい場を作ったりするなど、マネージャーやリーダー自身もスキルを身に着ける必要があるでしょう。
過去記事でも、チーム作りやマネジメントで押さえるべきポイントを紹介していますのでチェックしてみてくださいね。
次に、ジョブ・クラフティングに取り組む上で注意すべき4つのポイントを解説します。
繰り返しにはなりますが、主体性を発揮できる場を用意することがポイントの1つ。そして、ジョブ・クラフティングに取り組んで、意識を持つことは良いのですが、強くなりすぎると、「その人ではないとできない業務が生まれてしまう」「チームでの意見のぶつかり合いが起こってしまう」などの課題があります。
メンバー自身が取り組むことも重要ですが、バランスを取るという意味でも、マネージャーやリーダーがフォローを行うことを押さえると良いでしょう。
とはいえ、すぐにでも主体性のある人材がチームに欲しいという場合には、外部の人材に入ってもらうことも良いでしょう。
スキルのある主体的な人材を外部からアサインすることで、チームメンバーがジョブ・クラフティングに取り組む起爆剤とするのも1つのアイデアかもしれません。そういった人材と出会える場としてスキイキも選択肢の1つとなります。ぜひ、「外部人材活用ガイドブック」もチェックしてみてくださいね。
* * *
いかがでしたか。
ジョブ・クラフティングは社員の自主性を高め、生産性の向上に繋がることが見えてきたと思います。押さえておくべきポイントはいくつかありますが、成果をあげるチーム作りのために、「ジョブ・クラフティング」の導入・推進も検討してみてはいかがでしょうか。