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【書籍から学ぶ!】”ダイバーシティ&インクルージョン”がなぜ注目されるのか?多様性が生み出す新たな価値

こんにちは!スキイキ広報担当です。

昨年11月からスタートした「書籍紹介」の記事の第3弾をお届けします。
今回のテーマは「チームにおける多様性」です。
近年、「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉をよく耳にするようになりましたが、企業において多様性のある組織が注目されつつあります。しかし、「能力が高い人材を集めたチームと多様性のある人材を集めたチームは両立しないのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、マシュー・サイド著『多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織』を取り上げながら、多様性のあるチーム作り(チームビルディング)をする上で押さえておくべきポイントに加え、実務に直結する人材獲得のアプローチをご紹介します。

概要

まずは、この本の概要からご紹介します。
22カ国で発行された世界的ベストセラーである『失敗の科学』の著者、マシュー・サイドによって書かれた本書。英『タイムズ』紙の第一級コラムニストである著者は、パキスタン出身の父と北ウェールズ出身の母のもとで育ち、「多様性は常に人生の一部」だと言います。

多様性が単に、民族的・文化的な問題にとどまらず、政治、歴史学から進化生物学にまで関わる問題だと気付いたことがきっかけとなり、本書の執筆に至ったとのこと。

CIA、グローバル企業、登山隊、ダイエット、オーケストラなど、様々な事例を挙げながら、多様性の必要性を明らかにしていきます。多様な考え方を受け入れることで得られるものだけでなく、逆に多様性が欠如していたことが原因となった失敗にも目を向け、様々な課題を解決するチーム作りのヒントを導き出しています。

企業のトップだけではなく、プロジェクトマネージャーやチームリーダーとしてメンバーを牽引していく方が、チームビルディングをする際に活きるポイントが凝縮されている書籍です。

なぜ”多様性”が重要なのか?画一的な集団が陥る罠

本書では「画一的な集団だったらどんなことが起きるか?」を例に挙げながら、組織における多様性の重要さについて説明しています。
例えば、下記のようなケースです。

●9.11を防げなかったCIA
●エベレストでの大量遭難事故

CIAに所属する人材は、能力が高く、使命感も強い。しかし、人種やバックグラウンドが似た者が採用されていたという事実が挙げられています。
また、エベレストの登頂を目指す登山隊のケースでは、多様性があったとしても、チーム内にヒエラルキーが形成されており、意見を挙げることができない状況が事故を引き起こしたことを言及しています。

”個人個人の能力ばかりでなく、チームや集団全体を見る姿勢が欠かせない。それでこそ高い「集合知」を得られる。そこで重要なカギとなるのが、多様性だ。”

24頁より

多様性があれば様々な視点を取り入れ、危険に早急に気付く可能性があり、それを共有できるかどうかがポイントになっていることが伺えます。

これを日本企業に当てはめるとどうでしょうか。CIAと同じように、過去の優秀な社員をベースに採用を行なうことで人材に偏りが生まれているケースや、年功序列の組織体制の影響で登山隊の例のように支配的なマネジメントをするリーダーが出てきてしまっているケースは少なくないでしょう。

こうした組織・チームでは、イノベーションが起きないどころか、成果を上げることすら難しいかもしれません。

こうした状況を打開するためには、新たなアプローチが必要です。
第三者の視点や、社内にはない知見・ノウハウを持つフリーランス・副業などの外部人材をチームに参画させることも、多様性を取り入れる人材戦略の一つとなり得るでしょう。今までとは異なる人材獲得方法を活用してみることがその第一歩となる可能性が高いと考えられます。

「多様性」を活かすのは、なぜ難しいのか?組織に潜む3つの問題

しかし、多様性が重要だということは理解しつつも、気付かぬ間に画一的な集団が出来上がってしまっているケースがしばしば見受けられます。
本書でも、下記の通り、多くの組織が無意識に陥りやすい問題について述べています。

”我々は皆、自分自身のものの味方や考え方には無自覚だ。誰でも一定の枠組みで物事をとらえているが、その枠組みは自分には見えない。結果、違う視点で物事をとらえている人から学べることがたくさんあるのに、それに気づかず日々をすごしてしまう。”

31頁より

【問題①】ミラーリング

本書で取り上げられているイギリスの人頭税導入の事例からもわかるように、組織を構成する人材が必然的に同じ階級・人種・バックグラウンドだったことによって、鏡を見つめ合うようにお互いに同調し合い、意見が強化されていくという事態に陥いってしまい、それに気付くことができないケースがあります。

【問題②】知識のクラスタリング

大学で同じ教授から学んだ学生の事例からもわかるように、能力主義で同じ大学から学生を採用しようとしてしまった結果、知識の似た者同士が集まり、クローン集団へ近づいてしまうという事態が起こる場合があります。

人材を採用する際には、能力主義のみを基準とするのではなく、多様性という軸も持たせてバランスをとることが重要です。
例えば、即戦力となる人材を採用する場合には、業界経験者のみに絞るのではなく、他業界での経験や複数企業での勤務経験など、異なるバックグラウンドを持つ人材を獲得するように動くのがポイント
そうすることで、様々な角度から物事を見ることに繋がり、盲点がなくなったり、アイデアが掛け合わさり、イノベーションが生まれる可能性が高まるでしょう。

【問題③】ヒエラルキー

多様性のある人材を集めたチームビルディングをする上では、リーダーが異議を唱えることを許さない環境ではなく、様々な意見を受け入れるような環境を作ることが重要です。組織にある程度のヒエラルキーは必要ですが、権力を行使するようなマネジメントはメンバーを萎縮させてしまいます。
リーダーが率先して心理的安全性の高い組織作りを意識することにより、チーム内のコミュニケーションが活性化することで多様性が活きるのです。

このように、ただ多様性のある人材を集めればいいと考えるのではなく、多様性と画一性の本質を理解し、多様性が活きるチームビルディングを行なう必要があることがおわかりいただけたでしょうか。

多様性の取り入れるために必要な3つのアクション

ここではチームに多様性を取り入れる際に押さえるべきポイントを3点紹介します。

【ポイント①】「無意識のバイアス」を取り除くこと

過去の記事でも取り上げたことのある「無意識バイアス」ですが、自分では気付かないうちに偏った見方をしていることがあります。それを意図的に排除する工夫をしていくのです。
本書にある例としては、オーケストラの演奏者の採用の際に、性別でのバイアスがかからないよう、目隠しをして演奏を聴いてもらう方法を取っています。
企業においては、同じチームメンバーの背景を理解するためのコミュニケーションによって、無意識のバイアスに気付くことが重要でしょう。

【ポイント②】メンバーの発言の場をつくる

本書では「陰の理事会」という表現が使われていますが、チームメンバーがプロジェクトリーダーの出した意見に対してもコメントできるような環境を作ることです。
例えば、リーダーが不在の環境を作って議論を行なう方法、あるいは、匿名式でアイデアを出し合い議論していく方法です。
このようにすることで、チームの中でのヒエラルキーを取り払い、心理的安全性がある状態で意見を出し合えるようになります。すると、新たなアイデアも生まれやすくなり、イノベーションにつながる可能性も高まります。

【ポイント③】自分の考えや知恵を共有する

これは特にマネジメントを行なうリーダーが意識するのが重要です。
自分の考えやノウハウを他者と共有しようと意識することで、メンバーの協力を得やすくなるだけではなく、様々な意見やアイデアが出やすくなるのです。ここでも心理的安全性に関わりますが、与える姿勢を持ったリーダーであれば、受け入れてもらえるだろうという安心感から、よりアイデアが出やすくなり、コラボレーションへとつながるのです。

まとめ

「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉を耳にするようになってしばらく経ちますが、単に人種・性別・年齢・ライフスタイル・価値観などを取り入れれば良いというわけではありません。多様な人材が持っている豊富な経験や能力を活かし、「集合知」として捉えていくことが大切です。

徐々に似た者同士が集まっている社内の人材だけでなく、外部人材を活用することで、変化の激しい時代に未然にリスクを回避したり、課題解決をしたりすることも可能になるでしょう。第三者の視点を入れて盲点をなくすだけではなく、知識を掛け合わせることで、イノベーションを生み出せるチームへと変化する可能性があるのではないでしょうか。

この書籍紹介から、組織における多様性について考えるきっかけになれば幸いです。

外部人材をチームに迎え入れる最初のアプローチとして、スキイキのようなマッチングプラットフォームを活用することも有効です。ぜひ社内人材とは異なる人材を見つけるために、まずチェックしてみてはいかがでしょうか。