見出し画像

【書籍から学ぶ】成長する組織を作るための「人を見抜く」方法

こんにちは。スキイキ広報担当です。

今回は「書籍から学ぶ人材活用」シリーズ、「人材採用・人材評価」をテーマにお届けします。

新規事業立ち上げや新年度の準備など、人材採用に関して計画を立てようと考えている方、あるいは採用活動の中で「自社の求めている人材が見つからない」などの課題感を持っている方も多い時期かと思います。よく「人」「モノ」「カネ」「情報」と呼ばれるように、「人を選ぶこと」は職場だけの問題ではなく、企業のこれからを左右すると言っても過言ではありません。

そこで、本記事では経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術を取り上げながら、チームの成果だけではなく、企業の成長にも大きな影響を与える人材採用・評価について押さえつつ、経営層やマネジメント層が意識したいポイントや身につけておくべきスキルをご紹介します。

💡『スキイキ』とは…
マイナビが運営する、フリーランス・副業人材と企業をつなぐマッチングプラットフォームです。
専門性の高いスキルや経験を持つプロフェッショナルと必要業務に絞り協働関係を築くことで、企業が抱える人材・ノウハウ不足の解決をサポート。
両者の出会いを通じ、個人には活躍とキャリア形成の機会を、企業には変化の激しい時代にあった柔軟なチーム作りのカギを提供します。

『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』の概要

まず、この本の概要をご紹介します。
本書の著者は、コンサルタント、起業家、ベンチャー企業役員、ヘッドハンターを経験し、ベンチャーキャピタルファンドで組織グロースの支援、起業家メンタリングなどを行なっている小野壮彦氏。

ハイレベル経営層のヘッドハンターとして、100社以上の企業、約5000人の経営人材と関わってきた小野氏によれば、社運やひとりの人生を左右するほどの大事なアクションである「人の見極め」を、多くの人が経験則や勘に頼っていると指摘しています。

そして、以下のように強調しています。

人を見る目は、科学的に捉えることができるし、トレーニングできる。

『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』より

組織をマネジメントするリーダーや経営者層向けに、採用の際に良い人材を見極めたり、人材評価を客観的に行なったりするために知っておきたいポイントを紹介しているのが本書です。
もちろん、人事担当者や営業パーソンの方、そしてビジネスシーン以外の場所でも「人を選ぶ」「人を見る目」の参考になるでしょう。

「人を選ぶ」技術が向上すれば、自分自身を理解し、どう活かすべきかを判断することもできると小野氏が言及しているように、人材採用に限らず、組織づくりや自分自身のキャリアアップにも活用できる内容だと思います。



「人を見る目」を養う理由とは?見極めの軸と4つの属性

まずは、そもそも「人を見る目」が具体的に何を指しているのかを見ていきましょう。
本書によると、人材の見極めについては以下の2軸があるといいます。

・「人としての優劣さ」(相手の能力)
・「人としての害の有無」(相手が人にもたらす影響)

『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』より
『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』:人の4タイプと対処法

上の図からわかるように、人材の見方を4つのパターンに分類されています。

  1. 優秀で無害な人

  2. 平凡で無害な人

  3. 平凡で有害な人

  4. 優秀で有害な人

【1.優秀で無害な人】は、企業にとって最も採用したい人材です。今後の企業の成長に貢献する可能性高い人材を見逃してしまってはもったいないでしょう。

【2.平凡で無害な人】は特に意識する必要がなく、【3.平凡で有害な人】は避けたい人材でありつつもわかりやすく対策も比較的容易と言えます。

【4.優秀で有害な人】は、対応が難しく後々厄介になるため避けたいところですが、表面的には評価が良いが、実際に面倒なトラブルを起こすケースがある人材です。

このように、特に【1】と【4】の2種類の人を見極めるために「人を見る目」が必要だと理解できるでしょう。
実際の採用活動で言えば、客観的に人材を見ようと意識している方は多いと思います。ですが、「弁が立つ」「勢いがある」などの偏った評価軸で無意識に人を見てしまったり、学歴・職歴だけで、人材の全体評価をしてしまい、一緒に働き始めてからギャップを感じる経験をするケースも少なくありません。

4つのパターンのいずれかを見ようと意識することは大事ですが、どのような評価軸があるのかを整理したり、学歴・職歴以外の要素も含めて評価項目を設定し、バイアスがかかりにくい準備をすることも検討しておきましょう。
また、有害な人を除外すれば良いと考え過ぎて、不採用を早々に出し続けてしまうと採用活動は上手く行かなくなってしまいます。完璧な人はいないという前提を置き、あくまでもリスクがあることをある程度認識するということを心がけると良いでしょう。

次は、評価軸に関わるポイントをご紹介します。

人を客観的に見るための4つの評価軸とは?

本書では、人を見るための思考の枠組みとなるフレームワークを押さえることで、成り行き任せではなく、試行錯誤しながら「人を見る」力を磨くことができるといいます。

『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』:人を4つの階層で捉える

上の図のように、人を見るにあたっては4つの階層で捉えることがポイントです。上の方ほど他人から見えやすく、下に行くほど見えづらくなっていく傾向にあり、この構造を押さえることで評価をしやすくなると考えられます。

まず、地上階の「知識・スキル・経験」は履歴書から読み取れるため、比較的見間違えは発生しにくいですが、面談などでこの階層のみ見ていては、その人材を知ったことにはならないので注意が必要です。
また、求めるポジションに必要な知識、スキル、経験が明文化されていない場合には、募集前に整理し、まとめておく必要があります。正社員はもちろん、フリーランスや副業人材などの外部人材を活用する場合も同様です。

以下のワークブックで求める要件の整理のコツを紹介していますので、チェックしてみてくださいね。

🎁【無料DL可】『事業推進に必要なコト&ヒト「見える化」ワークブック』では…
事業課題の解決に適した人材と出会うためのプロセスとポイント、そしてこれからのビジネスで重要な外部人材との付き合い方について解説しています。


次の「コンピテンシー」は、「その人が “どんなシチュエーションで、どういうアクションを取りがちか” という、固定の行動パターン」と本書では解説されています。人材の将来の行動を予測できるので、どのような志向を持っているのかを確認すれば、特性を理解した上で協働することができます。特にスピード感を持って組織作りをしたい場合には、必須の観点と言えるでしょう。
実際に人材採用の場では、エピソードを具体的にヒアリングし、「意見」ではなく「行動」にフォーカスすることがポイントです。

次の「ポテンシャル」の部分は、平たく言えば「伸びしろ」のこと。好奇心、洞察力、共鳴力、胆力の4つで測ることができるポテンシャルは、面談の中での顔つき、表情、体の動き、声のトーンなどから感じ取れる熱量のようなもので、実際には高い・低いを意識することが大事だと著者は言及しています。

また、最後の「ソース・オブ・エナジー」は、使命感や劣等感といったエネルギーの源泉となる精神性を指し、他の3つの階層の要素が発達する加速度合いにつながってくると言います。
VUCA時代と呼ばれるように、不確実性が高いビジネス環境においては、今必要な役割が2〜3年後にはなくなり、新しい能力が求められるようになる可能性があります。そういった際には、ポテンシャルやソース・オブ・エナジーを持った人材が活躍できると考えられるため、そこまで人材を見る必要があるのです。

実際の人材採用の現場に目を向けると、ポテンシャルやソース・オブ・エナジーまで見るのは難しい場合もあるかもしれません。ですが、これらの枠組みを理解し、様々な人材を見る中で意識してみることが重要です。
また、人材評価の場面でも、目標に対しての成果、知識・スキル・経験の習得状況に加えて、コンピテンシーにフォーカスして評価をするとより客観的な評価をすることができるでしょう。人材育成の観点からすれば、ポテンシャルやソース・オブ・エナジーの部分まで見る範囲を広げていくことも、組織全体にとって役立つと考えられます。

人材育成の課題解決についてもっと知りたい方はこちらもどうぞ!



マネジメント層が意識して取り組みたいポイント

ここからは、マネジメント層向けに人材採用・人材活用で重点的に意識すべきポイントを3つご紹介します。

【ポイント1】「良い時間にする」という姿勢で面談に臨む

採用面談や評価面談の際、堅苦しい空気になったり、「雇ってあげる」「業務委託してあげる」「評価をしてあげる」というような姿勢を無意識に持っていないかを振り返ることが重要です。

面談の場では特に相手にも感情が伝わりやすいため、自分自身が緊張していればそれが伝播しますし、深刻な表情をしていれば圧迫感が出てしまい、本来であれば引き出せるものも引き出せずに終わってしまうケースもあります。
そのため、「良い時間にする」という意識を持ち、相手に感謝しながら面談に臨むよう心掛けることがポイントになります。

【ポイント2】質問してエピソードを引き出す

面談の場であれば、ある程度質問項目は用意していると思いますが、質問の仕方をエピソードを具体的に聞くように意識することが大事です。

例えば、成果志向かどうかを聞きたい時に、「目標達成した経験はありますか?」と質問するのではなく、「今までの経験の中で最も誇りに思うことはありますか?」「そのエピソードを教えてください」というように、エピソードを引き出すことで、その人が本当に成果志向なのかを語られている内容の重点の置き方で判断できるのです。
これは採用の場面だけではなく、人材評価においても結果だけでなく、プロセスを深掘りするのに有効だと考えられます。

【ポイント3】カルチャーフィットを個人的な性格などで判断しない

「人を見る」だけではなく、企業にマッチするかどうか、そのポジションにマッチするか判断することも面談では必要です。「カルチャーフィット」という言葉もよく聞かれるようになりましたが、企業文化は社内メンバーのよって醸成されるため、変化していくという前提を持ち、人材とマッチするかを雰囲気で判断しないようすることが大切です。

ただ、評価システムと権限委譲システムの2つが企業文化に与える影響は大きいため、企業が持つ特性を把握し、マッチする人材の特性やミスマッチが発生しやすい人材の特性を認識して判断基準にしておくことがポイントでしょう。


改めて求める人材の要件を整理して、学歴・職歴といった表面的な特徴だけではなく、自社が求める要素や判断軸を明確にし、人材採用を効果的に進めていってみてください。
カルチャーフィットするかどうかを意識して人材活用を進めた事例記事も併せてチェックしてみてくださいね。


ここまで、マネジメント層が人材採用や人材活用の場で意識するポイントを紹介してきましたが、技術の進化やトレンドの動きが早い今、中途採用だけで人材を選ぶだけでは、人手不足やノウハウ不足がスピーディーに解消されないケースも出てきています。技術や知識、トレンドに明るい、フリーランスや副業人材と呼ばれるプロ人材を的確に選び活用することは、企業の成長を考えると合理的とも言えます。

今回取り上げた、人を選ぶ方法や評価軸は、正社員でも、外部人材であっても同様に必要な視点です。社員となる人材を選び、育成していくと同時に、外部人材活用も行うことで、より成果につながる組織体制を作ることにつながるのではないでしょうか。
ぜひ、「人を見る目」を養い、マネジメント力を磨いていってくださいね。


* * *


いかがでしたか。
今回は、経営層・マネジメント層が明日から意識できる、人材採用・人材評価において着目したいポイントを解説しました。

組織作りや人材育成に課題を抱えつつも、目の前の業務に追われて対応し切れていない場合もしばしば。ぜひ「人を選ぶ技術」を磨きながら、様々な人材との出会いを活かし、成長する組織作りへの第一歩としてみてくださいね。


※参考書籍