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なぜ「心理的安全性」と「キャリア安全性」のバランスが求められているのか?企業と人材双方が育っていく解決策

こんにちは。スキイキ広報担当です。

今回は、「心理的安全性」「キャリア安全性」をテーマとして取り上げます。

スキイキでも、組織作りにおける心理的安全性の大切さを解説してきていますが、最近は心理的安全性だけでなく、キャリア安全性という観点もプラスして考えていく必要があるという話題を耳にするようになりました。
採用難・人手不足が続く中で、企業が職場環境を整備し、必要な人材を確保していくには、トレンド情報を収集しながら、自社の戦略に合わせて取り入れ、人材活用・育成をを進めていく必要があります。

本記事では、「心理的安全性」を含め、人材がパフォーマンスを発揮しやすい環境について解説します。それと同時に、特に若手やハイスキルな人材を確保し、育成する際に必要となる「キャリア安全性」もプラスした環境整備の方法をご紹介します。

新年度へ向けた準備としても、参考にしていただければと思います。

💡『スキイキ』とは…
マイナビが運営する、フリーランス・副業人材と企業をつなぐマッチングプラットフォームです。
専門性の高いスキルや経験を持つプロフェッショナルと必要業務に絞り協働関係を築くことで、企業が抱える人材・ノウハウ不足の解決をサポート。
両者の出会いを通じ、個人には活躍とキャリア形成の機会を、企業には変化の激しい時代にあった柔軟なチーム作りのカギを提供します。


若手が活躍できる職場の条件は、心理的安全性だけでは不十分?

「心理的安全性が高い大企業で、若手の早期離職が加速する皮肉」というニュースが飛び込んできました。

IT mediaによれば、職場環境の改善の方向性として注目される「心理的安全性」が、ただ高いだけでは若手社員が十分に活躍できていない実態があると指摘しています。

従来、労働負荷と離職率は比例関係にあると考えられ、労働時間の減少や年次有給休暇の取得率向上を目指して各企業が対応をしてきており、実際そのような傾向が見られるようになってきました。

しかし、若手社員の離職率が下がっておらず、現場のマネージャー、そして企業全体で若手社員の育成に課題感があるのです。

同記事内での調査見解によれば、大手企業の若手社員への熱量の度合い(ワークエンゲージメント)に影響を与える要素として、「心理的安全性」「キャリア安全性」が挙げられ、両要素を満たすほどワークエンゲージメント(≒働きがい)が高まるということが示唆になっています。

心理的安全性とは、チームメンバーが自由に発言したり、行動したりできる場がある状態。そして、キャリア安全性とは、以下のように定義されており、キャリア形成や職能獲得がしやすい職場環境なのかどうかという点につながります。

「今の職場で働き続けることで、自身のキャリアが持続可能で安全な状態でいられると認識している」のかどうかを捉える尺度

出典 : IT media

同調査においては、謂わば労働意欲・パフォーマンスに関連しているだけではなく、離職傾向にも関係性があることが明らかになっているようです。
心理的安全性とキャリア安全性の2要素から職場環境を4つに分類したとき、当然そのどちらも低い職場での離職意向が最も顕著ですが、次いで高かったのは心理的安全性のみが高い職場であると解説されています。

心理的安全性とキャリア安全性の相関性について

つまり、強い組織作りや人材がパフォーマンスを発揮しやすい環境を作る上では「心理的安全性」に限らず「キャリア安全性」ないしキャリア形成・職能獲得につながる視点自体が重要であり、またその有無は離職の誘因、人手不足にもつながっているということになります。
これらの整備を行うことで若手社員のモチベーションに繋がり、人材確保・育成に寄与すると言えるでしょう。



キャリア安全性とは?高めるために必要な3つの視点

ここからは、キャリア安全性について、もう少し具体的に見ていきます。
キャリア安全性の度合いを測るときの観点としては、以下の3つがあるとされています。

1. 現在の会社の仕事を継続しても成長できないと感じる
2. 他社や他部署で通用しないと感じる
3. 学生時代の友人・知人と比較した際に差を感じる

ITmediaビジネスオンライン『「心理的安全性」が高い大企業で、若手の早期離職が加速する皮肉 足りないのは何?』より
キャリア安全性に関する3つの視座

1つめの観点を「時間視座」と呼んでおり、例としては、営業上の顧客や業界が長らく変わらなかったり、ルーティン業務が中心のために新しい仕事にチャレンジする機会が少ない職場、先輩と同じ業務をしておりそれ以外の目標がない職場などが挙げられるでしょう。プレッシャーが少なく心理的安全性が高い職場と言え、一見すると「いい上司」がいる現場とも捉えられますが、逆の見方では「ゆるい環境」と感じる環境です。
この職場環境では、時間が経っても多くの人材が今と同じ業務を続けていることが予想され、変化にも期待できず、将来的なキャリアに向けた成長につながるイメージが湧かないという場合がこのケースに当たると考えられます。

2つめの観点を「市場視座」と呼んでおり、例として、その企業や部署の独自の業務方法、システムやルールに基づいた業務のみが中心になっている場合や、ニッチな業界向けの業務を担当し続けている場合などが挙げられるでしょう。
この職場環境は、今の職場に限定して自身がスキルや経験を得たり活躍できたとしても、応用して別の仕事や未来のキャリアにも活かせるかどうかに期待が持てないケースとも言えます。

3つめの観点を「比較視座」と呼んでおり、例えば他企業に勤めている同期が資格取得や昇進をしている一方で、自身にはそうした経験や蓄積が足りていないと実感するケースなどが挙げられるでしょう。

上記の例から言えることをまとめると、キャリア安全性を満たす環境を作るという意味では、以下を押さえておくことがポイントになります。

  • 成長につながる業務の変化やチャレンジの機会があること

  • 他社でも活用できる経験・スキルを獲得できること

  • 他者と比較しても自信を持てる企業内での評価や経験の軸があること


ではなぜ今、このような職場環境を作り、キャリア安全性を満たすことが欠かせなくなっているのでしょうか。
大きな要因としては、「終身雇用の終焉」「定年引き上げ」「労働・ライフスタイルの価値観の多様化」「DX化」などが考えられます。

先行きが不透明で、企業を取り巻く環境の変化が激しい中では、旧来のように定年まで勤めることが当たり前の感覚ではなくなっています。将来のキャリアについて考える必要が出てくると同時に不安や焦りを感じる若手は以前に増して多くなったいうことが背景にあるでしょう。定年引き上げなどの影響もあり、自分が長きにわたり働き続けられるのかという点も加味しながら、キャリアプランを形成しなければならないという意識は一層強まっているとも言えます。

また、仕事に対し成長を求める人もいれば、ワークライフバランスを求める人もおり、働き方の多様化に伴って、よりキャリアを見直す機会があることも要因として挙げられるでしょう。

他にも、DX化が進み、あらゆる業務が自動化される潮流によって、自分の仕事がなくなったり、身に着けたスキルが活かせなくなるのではないかという視点もあるかもしれません。



チームメンバーが働きやすい環境を作り、心理的安全性とキャリア安全性を両立する方法とは?

では、企業はどのように「心理的安全性」や「キャリア安全性」について考え、職場環境を作れば良いのでしょうか。
それぞれ非常に多くの見解や考え方があると思いますが、今回は基本的な点について過去記事とともに紹介します。

心理的安全性の高い環境を作るための基本

まずは基本として、「目標設定」「コミュニケーション」「評価」の3点を中心に、マネジメント層がチームメンバーに働きかけることが挙げられます。

企業や部署、チーム単位の目標を明確にした上で、それらを個々の目標にも落とし込み、進捗を見ながら相互にコミュニケーションをとるということの試行錯誤がポイントです。マネジメント層とメンバーそれぞれが信頼関係を築き、主体的な動きをしやすい状態を作るほか、チームとしても定期的にブレインストーミングの機会を設けるなど、メンバー同士でフラットに連携できるような環境が求められる傾向にあります。

心理的安全性については、以下の記事で詳しく紹介しています。

キャリア安全性の高い環境を作るための基本

一方、キャリア安全性に関しては、まずは先ほどの通り3つの観点を押さえる必要がありますが、マネジメント層が組織作りや人材育成をする中で取り組むには障壁になりやすいのも事実です。
任せる業務を定期的に変えたり、少し大きな業務を任せたりすることはできても、その分マネジメント層が知見を共有したり進捗をフォローしたりすることができない、つまり育成に充てる時間や人材が不足するケースが少なくありません。

人材育成の課題解決についての記事でも取り上げていますが、そもそも、他社でも活用できるようなスキル・ノウハウが社内に蓄積していない場合には、マネジメント層自身が新たに習得して若手に教える必要があると言え、即時的な対策にもなりづらいでしょう。

そうした場合、すでに専門性の高いスキルや経験、そして客観的な視点を持っている外部人材(フリーランスや副業人材)のような存在の活用が選択肢になり得ます。今では、単なる収入目的ではなく、自身の豊富なノウハウを活かし即戦力として複数企業で従事するプロフェッショナルな外部人材が多くいます。
こうした外部人材と協働できる環境を用意することにより、社内だけでは得られない知見を得られるほか、特に若手社員にとっては外部からの刺激を受け、実務を通して新たに学び成長する機会にもなります。もちろん、若手社員だけではなくチーム全体として見た時にもプラスに働くでしょう。

また、別の観点として「副業解禁」を促進するという考え方もあります。他社で副業を行うことで、自社環境だけでは得られないスキルを身につけつつ、自社の本業にも活かしたり新たなノウハウを持ち帰ってくるきっかけになるのです。

副業解禁について詳しくチェックしたい方はこちらも参考にしてください。


このように見てくると、心理的安全性を満たしながら、キャリア安全性のある職場環境を作るのは、長い道のりのように感じる方も少なくないでしょう。
しかし、根本にあるのは、チームメンバーが働きやすい環境を作り、モチベーションを高め、最大限パフォーマンスを発揮できるようにすることです。企業が制度設計をしたり、マネジメント層が意識して働きかけることも重要ですが、時には外部から人材や知見を取り入れることで、スピーディーに企業も人材も育成することに繋がるという視点も持っておくと良いでしょう。

働きやすい職場環境・モチベーション高める組織作りについてはこちらもあわせてチェックしてくださいね。


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いかがでしたか。

今回は、心理的安全性とキャリア安全性について取り上げました。
若手社員の離職の原因がわからなかった方も、キャリア安全性の部分で思い当たるところが見つかったかもしれません。これから人材確保・育成を考える際に、心理的安全性とキャリア安全性の2つの視点を押さえながら、職場環境を整えてみてください。

また、課題解決のために一歩踏み出したいと考える方は、外部人材活用という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。