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【書籍から学ぶ】新規事業・プロジェクトを担うチームは活かしたい!創造性やレジリエンスを生むユーモアの力とは?

こんにちは。スキイキ広報担当です。

今回は「書籍から学ぶ人材活用」シリーズ、「チームビルディング」をテーマにお届けします。

新規事業立ち上げや新たな人材のアサインに伴い、組織作りに悩むケースは少なくありません。プロジェクトの成功を左右する要素として、チームメンバー同士のコミュニケーションや団結力、信頼関係などが挙げられますが、いかにそれらを強固なものにし、強いチームを作っていくかという課題を持っているマネジメント層もいるでしょう。

そこで、本記事では『ユーモアは最強の武器である―スタンフォード大学ビジネススクール人気講義』を取り上げながら、チームの創造性や生産性、レジリエンス、心理的安全性を高めるカギを握る「ユーモア」を取り上げ、これからのチームビルディングに活かしたいコツやマネジメント層が意識したいポイントをご紹介します。

💡『スキイキ』とは…
マイナビが運営する、フリーランス・副業人材と企業をつなぐマッチングプラットフォームです。
専門性の高いスキルや経験を持つプロフェッショナルと必要業務に絞り協働関係を築くことで、企業が抱える人材・ノウハウ不足の解決をサポート。
両者の出会いを通じ、個人には活躍とキャリア形成の機会を、企業には変化の激しい時代にあった柔軟なチーム作りのカギを提供します。

『ユーモアは最強の武器である―スタンフォード大学ビジネススクール人気講義』の概要

まず、この本の概要をご紹介します。
本書の著者は、スタンフォード大学ビジネススクールで「ユーモアーシリアス・ビジネス」の授業を創設し、講師も務めているジェニファー・アーカー氏とナオミ・バグドナス氏。

ジェニファー・アーカー氏は、行動心理学者で、目的と意義が個人の選択に及ぼす影響や、テクノロジーが人間の幸福や企業の成長にプラスの影響をもたらす可能性に関する研究の第一人者。
一方、ナオミ・バグドナス氏はコメディーを学び、コーチングにそれらを取り入れていた戦略コンサルタント。

ユーモアの行動科学とコメディーの原則を組み合わせ、ビジネスの役に立つように実証実験やインタビュー、講義などを重ねてきた2人によれば、「真面目さと陽気さのバランスが取れると、相乗効果が生まれる」と指摘しています。
そして、「ユーモアはとりわけ状況認識力を高め、有意義なつながりを促進し、創造力や革新性を解き放ち、レジリエンスを向上させる」と強調しています。

組織をマネジメントするリーダーや経営者層向けに、チームメンバーの信頼を獲得し、強力なリーダーシップを発揮する方法や組織文化を作る方法、ユーモアを活用するときに押さえておきたいポイントを紹介しているのが本書です。
また、個々がビジネスの場にどのようにユーモアを取り入れる方法にも触れているので、リーダーはもちろんチームメンバー1人ひとりの参考になり、チームビルディングを進めていく上で役に立つ内容となっています。

新規事業の立ち上げやプロジェクトメンバーのアサインが増えてくるタイミングなどにおいて、より強いチームを作るための参考になるかと思います。



ユーモアが活用されにくい4要因の “思い込み” とは?

まず、ユーモアを効果的に使うコツを紹介する前に、なぜユーモアが活用されていないのか、妨げになっているものを見ていきます。

本書によれば、4つの要因があることが調査で明らかになったと言います。

1.ビジネスは真面目であるべきという思い込み
2.うけないという思い込み
3.面白くなくちゃいけないという思い込み
4.生まれつきの才能という思い込み

1つめは、「職場の真面目な雰囲気の中では、ユーモアが入り込む余地はない」という思い込みで、「真面目さ」を見せなくてはと考えがちだということです。実際は、ユーモアのセンスがある従業員が好まれたり、ユーモアのある飾り気のない人間らしいリーダーが求められたりする傾向にあり、組織やリーダーの成功は、真面目さと陽気さのバランスであると著者は指摘しています。

2つめは、面白いことを言ってもうけないのではないかという恐怖心があることです。研究によれば、ジョークがうけない原因は一様ではなく、笑いをとったからといって、成功したとは限らないと言います。

以下の図は、本書で就職希望者がよい印象を与えるかどうかの決定要素を表したもので、右上のゾーンが最も成功した領域で、面接の場でジョークを言える度胸(自信)、その場において適切なジョーク(能力・地位)という点を押さえているため、好印象を与えています。
一方で笑いがが取れても、その場で不適切であれば悪い印象を与えてしまいかねないのです。

ここからわかることとしては、面白い人なのかにかかわらず、その場に適切かどうかがジョークの成功のカギを握っていると見えてくるでしょう。

ユーモアは最強の武器である:ジョークが与える印象の決定要素

3つめは、ユーモアを発揮するならば面白くなくてはという思い込み。著者は、実際に重要なのはユーモアのセンスがあることを伝えることで、にっこり微笑んだり、人のジョークを聞いて笑うことで、親しみが生まれると言います。

また、4つめは、ユーモアは生まれつきの才能で、学んで身につけるものではないという思い込み。「ある」か「ない」かで決まるものではなく、トレーニングと実践で習得できるものとして捉える必要があると言います。

このように、4つの思い込みによって、ビジネスとユーモアが共存しにくいと考えている人は多いかもしれませんが、実際は職場にユーモアがあるかないかでチームの結束力が高まったり、危機的な状況を乗り越えられたりした経験がある方もいらっしゃるでしょう。

実際にユーモアを意識的に取り入れるために、次でユーモアの種類と活用法も見ていきましょう。



状況によって有効な活用法が異なる?ユーモアの4タイプ

ここからは、ユーモアを活用する上で知っておきたい具体的なユーモアのタイプをご紹介します。

ユーモアは最強の武器である:ユーモアの4つのタイプ

上図にあるように、自分に合ったユーモアタイプを理解することで、ユーモアを使いやすくなると著者は指摘しています。

ここで言う「親しみやすい」は健全で元気が出るユーモア、「攻撃的」はブ何でもありのブラックなユーモア、「表現力豊か」は勢いがよく、目立つユーモア、「さりげない」は控えめでよく練られているユーモアを指します。

スタンダップが天性のエンターティナータイプなのに対し、スイートハートはひたむきで誠実なタイプ、そして、マグネットはみんなのムードメーカータイプ、そしてスナイパーは鋭くて皮肉っぽいユーモアを好むタイプ。

ここで押さえておきたいのが、タイプは絶対的なものではなく、その場の状況や顔ぶれに応じて変わるものであることです。ユーモアを効果的に使うコツの1つは、その場の空気を読み、ふさわしい態度や話し方に切り替えること。

例えば、スタンダップやスタイパーのタイプが親しみを込めてからかったものの、やりすぎてしまった場合には他のタイプの人が引いてしまったり、マグネットやスイートハートタイプが自分を低く見せすぎてしまうと、他のタイプの人の目には情けなく映ったりすることがあります。

ユーモアを活用してその場の雰囲気を変える際には、どんな人がその場にいるのか、どんな状況なのか、ユーモアを受け取る人はどう感じるのかを考えながら活用していくことが大切でしょう。



マネジメント層が意識したい、ユーモア活用の3大シーン

最後に、マネジメント層向けにユーモアを活用するシーンを3つご紹介します。ぜひチームビルディングにおける環境づくりの観点として役立てていただければと思います。


【シーン1】新しい人材がチームに入るタイミング

新規事業立ち上げの際に、初めて一緒に仕事をすることになったメンバーが多くいる場合、あるいはプロジェクトに途中から新しい人材が入ることになった場合など、ユーモアが重要な役割を果たします。

チームメンバーのことを理解し、コミュニケーションを率先してとっていくのがリーダーの役割の1つです。その際に、ユーモアは距離感を縮めるために効果的です。一緒に笑い、親しみを感じれば、チームに仲間入りしやすくなります。また、相手に対して腹を割ったり、弱みを見せやすくもなります。

そのため、新しい人材がチームに入るタイミングや、チーム形成の初期段階においてユーモアを取り入れて、距離感を縮めていくことがポイントです。
特に、スキイキで紹介しているような外部人材を活用する場合には、社内メンバーだけでチームの雰囲気が形成されており外部から参画しづらいと思われてしまうこともあります。そういった際にユーモアを活用し、コミュニケーションのきっかけにすると良いでしょう。

チーム立ち上げ時期のプロジェクトマネジメントについてはこちらで解説しています。


【シーン2】アイデア出しをするタイミング

アイデア出しをチームで行う際にも、ユーモアは効果的に働きます。ユーモアで笑うことによって、失敗を気にしなくても良いという安心感が生まれ、大胆なアイデアを口にしたり、挑戦する意欲が湧いたり、大きなリスクが取れます。つまり、ユーモアによって心理的安全性の高い環境づくりが可能になるということです。

ブレインストーミングの場だけでユーモアを活用するというよりも、普段からリーダー層を中心にユーモアを活用して、どんなアイデアやユーモアも受け入れられる状態を作ることがポイントです。

新規事業立ち上げ段階は、いかに視野を広げてアイデアを出し、そこから様々な調査や分析を行って方向性を絞っていきます。そのため、起点となるアイデア出しで様々な意見やアイデアが出るかどうかが重要になってくるので、リーダーが心理的安全性を確保したチーム作りを行うためにユーモアを活用するとよいでしょう。

心理的安全性についてはこちらで詳しく解説しています。


【シーン3】危機的な状況に直面したタイミング

新規事業立ち上げにかかわらず、ビジネス環境は日々激しく変化しており、予想外の影響を受ける場合があります。トラブル対応に追われたり、プロジェクトの予算が厳しくなってきたり、人材が離れてしまったり、ストレスを感じずにはいられないケースもあるでしょう。
そのような危機的な状況において、ストレスを緩和し、極度の苦痛に対処するのに効果的なのもユーモアです。

ユーモアによって個々のマインドを立て直し、次に打つ手を考えたり、具体的な行動へ移したりすることが可能です。チームであれば、危機的な状況だからこそ、チームで同じ方向を向き団結して取り組むきっかけとなるのです。

変化の激しい環境の中では、トラブルに見舞われた際、対応のスピードによって立て直しがうまくいくかどうかが変わってきます。リーダーがユーモアを活用し、人間らしい部分を見せたり、率直な考えをチームメンバーに共有することによって、チームを導き、個々が自発的に行動する助けになるでしょう。

変化に強いレジリエンスのあるチーム作りのポイントは以下で解説しています。


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いかがでしたか。
今回は、チームビルディングに役立つ「ユーモア」活用のポイントと、実際に取り入れるタイミングについてご紹介しました。

コロナ禍を経て、多様な働き方が広がり、同じチームでも様々な人材が協働するシーンが増えてきました。だからこそ、お互いのことを理解し、コミュニケーションを積極的に取ることが求められています。

マネジメント層にとっては、チームメンバー1人ひとりと信頼関係を築き、それぞれの能力を引き出せる体制作りに悩むことも多いでしょう。今回ご紹介したユーモアのタイプやタイミングを押さえ、自らがユーモアを活用すると同時に、チームとしてもユーモアを取り入れられるように働きかけてみてくださいね。

※参考書籍